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オールドパインチェスト

今回紹介するオールドパインチェストはヴィクトリアン時代、およそ100年以上前に作られたものです。

このチェストの魅力はなんといっても、そのやわらかな佇まい。

天板の割れや節穴など、本来ならマイナスにカウントされてしまう要因も、100年前の幅広のパイン材が醸し出す落ち着きのある質感にかかれば、魅力的な個性に変わります。

全体を一度剥離したあとにリフィニッシュしているので、コンディションは良好。引き出しの中もきれいにメンテナンスしてあり、開け閉めもスムーズです。

カントリースタイルのこのチェストは、きっと、のんびりしたカントリーサイドで、農作業の合間に手間暇かけて作られたのでしょう。
柔らかくて加工がしやすいパイン材だから、あまり高度な木工技術は必要なかったのではないかな?

ちょっとくらいのずれや隙間は許容範囲、と受け入れ、普段使いの日用品として生活に溶け込んでいた光景が目に浮かんできます!

やがてモダニズムという波が押し寄せ、作り手も使い手も「簡素」で「効率的」なものを求めるようになります。

家具でいえば「継ぎ目のない」「なめらかに磨き上げられた」デザインが席巻し、「機能的」で「シンプル」な空間を生み出していきました。

洗練されていて衛生的だとは思いますが、傷や凹凸を寄せ付けない美意識は緊張感を孕み、その家具が丁寧に編んできたストーリーや作り手の息遣い・表情を覆い隠してしまっているような気がしてなりません。

このチェストは、まちがえて付けてしまった傷や輪染みを優しく包み込んでくれる、そんなやさしさにあふれています。

痕跡(=傷や輪染み)が、大切な記憶(=思い出)のひとつに変わる、そんな家具が部屋の片隅にある生活はいかがでしょう!

 

アーコールソファ

ウィンザーソファの名で親しまれているアーコール社のシングルソファと3シーターが入荷しました。

弓型の背もたれが描くおおらかなラインと、縦に並ぶ繊細なスピンドルが印象的なこのソファのデザインは、

17世紀後半にイギリスで生まれたウィンザーチェアを現代に解釈したものです。

インテリアの本のページを紐解くと、家具の歴史の各ピリオドにウィンザーチェアをリデザインした椅子がある

ことがわかります。

古今東西の有名なデザイナーが北欧スタイルやイタリアデザインの名のもとに、ウィンザーチェアをモチーフに

蘇らせた椅子は数知れず。

その多くのものが斬新で奇抜なデザインで占められている中、アーコールのソファは、リメイクを最小限にとど

めながら、ウィンザーチェアのオーセンティックなデザインを堅守しています。

たとえば、ソファの背もたれをV字に配した2本のスピンドルで支えるデザインは1780年代に流行した「Braced

Bow Back Windsor Chair」をそのまま流用したもの。(Braced=支えられる、Bow=弓、Back=背)

1780年にこのような斬新なデザインがあったことも驚きですが、20世紀中ごろにデザインされたアーコールソ

ファが17世紀の椅子をベースにデザインされている、ということにも感じ入ります。

ライトカラーが人気のアーコールソファですが、今回、紹介するのはダークブラウン・タイプ。クッションカバ

ーはフレームの色に合わせて、縦糸がブラックで横糸がフラックスのモザイク柄(リベコ社のVanity Black Mos

aic)を選びました。アーコールが持つシンプルで軽やかなフォルムはそのままに、シックで落ち着いた雰囲気に

仕上がったと思います。

 

モダンな空間はもちろん、クラシカルなインテリアに合わせても良さそうですね。

 

Morris Of Glasgow ウォルナット ダイニングテーブル

Morris Of Glasgow社のテーブルが入荷するのはこれで2回目。初めて入荷した時はアッという間に売れたアイテムです。

このテーブル、墨で描いたようなブラックウォルナットの木目や、指物のようにシンプルなシルエット、天板の端に施された控えめな装飾が印象に残ります。

人気の秘密は、そのように、どこか「和」のテイストを感じさせるところがあるからなのかな、と思っていたのですが、先日、読み終えた本に面白い記述があったので紹介します。

 

「ジャポニズム、これが19世紀の中頃から後半にかけてヨーロッパで流行る。ジャポニズムというのは日本様式ですね。19世紀の中ごろ、黒船来航以来、日本では船をつくらなければいけなくなった。造船を勉強しなければいけないということで、明治政府の使節が造船の盛んだったグラスゴーに行きます。そういう交流があったのでしょう。日本と色んな物品の交流が生まれる。そういうことがあって、日本というのは全然違う文化なんだ、面白いぞ、ということになったんでしょう。そのグラスゴーにC.R.マッキントッシュという建築家がいます。

実際に彼の設計した建物を訪れてみれば分かりますが、日本趣味みたいなものを明解に見て取れます。グラスゴーに行く人がいたら是非、ヒルハウス(1903)に行ってください。今はナショナルトラストの管理になっていますが、見ることができます。ヒルハウスに行ったら一目で分かりますよ。浮世絵が飾ってあったり、日本の陶器が置いてあったり、空間のつくり方も日本建築をひとつの理想としてつくったことが分かります。」

(「形態デザイン講義」内藤廣より)

 

「Morris Of Glasgow」はその名の通りスコットランドの家具メーカー。僕の推測もあながち間違えではなかったようです。

でも、日本の木工の歴史がスコットランドと造船技術でつながっていたとは知りませんでした。

マッキントッシュがデザインしたハイバックチェアの幾何学的なデザインは日本建築からの影響だったのですね。言われてみれば「なるほど!」です。

興味をもってヒルハウスを調べてみたのですが、上記の記述どおりMorris Of Glasgowのテーブルがぴったりマッチするような室内でした。

日本様式にさりげなく差し込まれたアールヌーボーの模様や、まるで要塞のような外観との対比も興味深いので機会があれば是非、みなさんも検索してみてください。

 

 

そして蛇足ですが、この文章は以下のように続きます。

 

「そのマッキントッシュがウィーンで展覧会をやります。今度はウィーンにそのジャポニズムが飛び火します。そこで、ウィーンのいわゆる世紀末芸術が、日本趣味を取り込みながら爛熟していきます。建築においてはヨーゼフ・ホフマン、J.M.オルブリッヒ、オットー・ワーグナーといった人たちです。この人たちの生み出した新しいスタイルをゼツェションと言います。日本に持ち込まれて「分離派」と呼ばれ、特に大正期に大流行しました。幾何学的で単純化された装飾を使うことによって、古い時代とは一線を画す、というのが特徴です。日本から出て行ったものが、ブーメランみたいに形を変えて再輸入されたのが分離派の動きです。」

 

外来のデザインと思っていたものが日本古来のものであったり、親しみのある日本固有のスタイルが外国から伝来されたものだったり…

目を凝らしてまわりをみれば、そこかしこに、はるばるスコットランドから「再輸入」されたデザインがひそんでいるかもしれませんね!

 

リネンバード二子玉川

東京都世田谷区玉川3-12-11

TEL 03 5797 5517

スポルテッドトップのフレンチオケージョナルテーブル

 

「使い込まれた風合い」とか「ぬくもり」といった言葉はアンティーク家具の魅力を伝える時によく使う常套句ですが、今、読んでいる小説に「古いもの」に関する素敵な描写があったので紹介しますね。

 

「かつて私は友人たちに(中略)歴史を感じさせるものを持っているか尋ねたことがある。三千年前の親指の跡が残っている古代の壺、とひとりが言う。アンティークの鍵、と別のひとりが言う。クレイパイプ第二次世界大戦期のダンス靴野原で拾ったローマ時代のコイン古本に挟まっていた昔のバスの切符。どの人も、これらの小さな品々が引き起こす感覚は妙に親密だという点で一致した。それを取り上げて手に触れることで、それを手にしていた別のだれかが、知らない昔のだれかのことが身近に感じられる。その人たちのことは何ひとつ知らないでもそこにだれかがいると感じる、と友人のひとりが言う。自分とその人とを隔てる年月が消えてしまうような、自分がなんだかその人になるような気がするの。友人たちがそんな小さなかけがえのない品々を手にするとき(中略)、歴史がその場で消滅する。自分ととうの昔に死んだその人との間にある果てしない隔たりが、忘れられる。自分(中略)はその人たちと同じように世界を見ているのではないかと思わずにはいられなくなる。」

(太字は原文のまま。「オはオオタカのオ」ヘレン・マクドナルドより)

 

「親密」で「身近」、なるほど、アンティークの魅力を端的に伝える的確なワードですね。

アンティーク家具の背景にある歴史やその時の社会情勢を系統立てて勉強するだけでは出会うことのできない、とても新鮮な言葉です。

 

この本は父を失った女性が鷹匠になるノンフィクションなのですが、ただのノンフィクションと括れない奥深さがあります。

というのも、随所に数世紀も前の鷹匠に関する文献が挿入され、まるでパラレルワールドのように二つの時間が言ったり来たりするのです。

機会があればぜひ手に取ってみてください。イギリスの田園風景の描写も見事です!

 

前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのは、スポルテッドトップのフレンチオケージョナルテーブル。

天板の表面にある筋状の模様は、樹木の亀裂から雨水が染み込むことによって細菌が繁殖してできたもの。

長い長い年月が刻んだ摩訶不思議な造形を目にすると、確かに「歴史がその場で消滅する」ように思えてしまいます!

 

 

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モジュール家具

残念ながらソールドアウトになってしまいましたが、ユニークで珍しいブックシェルフが入荷したので紹介

しますね。

この家具は基本単位となるユニットを組み合わせて使う、いわゆるモジュール家具と呼ばれるもの。

1950年代のものと推測されますが、この時代にモジュール家具が存在していたなんで知りませんでした…

「組み立て式」と言えば、縦に積み上げるスタッキングタイプのブックケースはよく見かけますが、このブック

シェルフは各ユニットのサイズが同じなので横に並べることもできます。

以前ブログで紹介したグローブウォニック・ブックケースや先週オンラインに掲載したミンティー社のスタッキ

ングブックケースとは違い、ユニット単体でも自立するようにできているのです。

両サイドの方立が上下に伸びているので、単体で使用しても上部はブックエンド、下部は台輪の役割をします。

また、積み上げると間に空間ができるのでオープン収納に早変わり。

反りや捻じれが出やすい無垢材でモジュール家具を作るなんて、今の時代だと無謀に思われますが、この通り、

きれいに組み合わさります(すごい!)。

1940~50年代のイギリス家具に顕著なゴールデンオークカラーが醸し出す雰囲気もいいですよね。

もしもダークカラーでオークの木目を潰してしまっていたら、せっかくのテクスチャーが消えてしまい、シン

プルな形状だけが強調されるので、深みのあるこの佇まいは損なわれていたはず。

そして、両サイドに施されたスリットは、積み上げたときのジョイント部分を目立たなくする、垂直方向への

力強い推進力を増す視覚的効果があると思いませんか。

4段に積み上げてもよし、2段ずつで使ってもよし。同じ部屋の対面や隣り合う面で2台ずつ配置してお部屋の

求心力を高めるもよし。

 

問い合わせがとても多く、オンラインに掲載する前に売れてしまった、自在にコーディネートが楽しめる、

“自由な”ブックシェルフ。

 

「また巡り合うことはあるかな?」

儚い希望を抱きつつ、次回の買い付けの時もがんばって探してみますね!!

 

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オールドパインテーブルの幕板加工

世田谷区にお住まいのI様が、ウィンドウ越しに一目惚れされた飴色のオールドパインテーブルの難点は、

高さが795mmもあること。

お手持ちの椅子に合わせて脚を40mmカットすると、今度は座った時に脚が窮屈になってしまう…

ということで、長手・妻手の幕板 x 四方に30mmの欠き込みを入れることにしました。

アールの形状は「立ち上がり」の角度が急だとハンドメイド感が強調されてしまうので、アンティーク

家具のアーカイブをもとになるべく緩やかな曲線をご提案。

欠き込みが立ち上がる箇所はI様とご相談して脚との接合部から60mm「逃げた」ところからスタート

することにしました。

とても古いテーブルなので幕板に若干の反りや捻じれがあり、電動工具は使えないため、すべて手加工。

直線部分は縦引きのノコギリで慎重にカット。アール部分は(髪を梳く)櫛状にノコ目を入れ、ノミと

カンナで仕上げました。

ちょうどアール部分に節や古い傷があり、思ったよりも時間がかかってしまいましたが、お届けした際に

開口一番「まるで最初から欠き込みがあったよう」と、とても気に入っていただきました。

幕板に欠き込みを入れることにより、実用的になっただけでなく、すっきりとした動きのある

ラインが強調され、モダンな空間にもマッチするテーブルに生まれ変わりました。

リネンバードではお客様のニーズに合わせたリメイクを承っています。遠慮なくスタッフにご相談ください!

 

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天板加工をしたビストロテーブル

前回アップしたテーブルの天板加工が仕上がったので紹介しますね。

今月都内に新しくスペシャルティコーヒー専門店をオープンしたお客様からいただいたオーダーはテーブルが14台。

カフェ内のゾーニングや、椅子とのマッチングのため、天板仕上げの色指定も承りました。

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フォーレッグタイプは5台ともブラウンマホガニーに仕上げました。サイズは700 x 700mmサイズ。

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ワンレッグタイプは合計9台。うち6台は面取りの形状の参考にされたフレンチテーブルと同じホワイトウォッシュ。

3台はフォーレッグタイプに採用したブラウンマホガニーよりも赤味を控えめに調合してチークブラウンに仕上げま

した。

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手加工だったため、面やコーナーは正確無比ではありませんでしたが「アンティークのように仕上がっていますね!」

とお褒めの言葉(なのかな?)をいただきました。

他にサイドボードやバトラーズトレイ、レクターンをオーダーいただき、アンティーク仕上げに統一されたい、との

意向で、天板はウレタンではなくワックスフィニッシュに。

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卓番のナンバープレートもオリジナルは番号が揃っていなかったため、あらたにご用意。ブナ材の淡泊な木目に程よく

マッチしたワンポイントのアクセントになっていますね。

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お届けはすでに済んでおり、カフェは先日、オープンしました。

異なる焙煎度合いと、ハンドドリップ、エアロプレスの2種類の抽出方法で個性の違う2つの味のコーヒーが楽しめるそう。

僕も近いうちに伺う予定です!

(さてさて、どの色のテーブルに座ろうかなッ!!)

 

リネンバードではアンティーク家具のリメイクだけでなく、店舗設計のご相談も承っています。

お気軽にお問合せください。

 

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天板の面取り加工

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カフェで使うテーブルをご購入されたお客様から、テーブルの天板の面取り加工を依頼されました。

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たまたま店頭にあったフレンチテーブルの面取りの形状を気に入られ、同じようにしてほしい、とのこと。

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早速、同じ厚みの材を用意してサンプルを製作しました。

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天板に合わせてアンティークの風合いを損なわないよう機械ではなくできれば手加工で、という

リクエストにお応えして、手ノコギリだけで加工することに。

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お客様からオーケーをいただいたので「本番」に入ります。

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さてさて、仕上がりはどのようになるでしょう?

出来上がったらまたここで紹介しますね。

 

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アンティーク家具の修理

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古くから木との深い関わりがある日本は、寺院や神社など多様な木造建築を造るための技能が発展しました。

寺院や神社だけでなく、家屋や家具の製作もさかんだったので、木工の技能を身近に触れたり学んだりする機会

はたくさんあります。

学校の技術家庭科でカンナやノミを使った経験のある方も多いのではないでしょうか。

かくいうわたくしは都が運営している技術訓練校でみっちり1年間、木工技術の勉強をしました。

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ところが、西洋アンティーク家具の修理に関しては、残念ながら国内で学ぶ機関がありません。

僕の場合は木工所で修行後に勤めたアンティーク屋さんで、我流で習得したと思われる先輩方の仕事を盗みな

がら技を磨きました。ただ、なかなか納得がいくように直せないこともあり、行き詰まる日々が続き…

そんな時に実際に本国ではどのようにやっているのだろう?と思って手に入れたのがこの2冊の本。

それこそアマゾンがない時代、輸入書籍を扱う会社を電話帳で調べて相談に乗ってもらい、やっとのことで手に

入れました。

見よう見まねで試行錯誤をかさねてはページを繰り、トライ&エラーを繰り返してはページを繰り、の連続でし

たが、20年経った今でもアンティーク家具に従事できているのは、この本のおかげ、といっても過言ではありま

せん。

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修理をしていて一番楽しいのが、修理痕を発見して先達の卓越した技術を垣間見た時。心のこもった丁寧な手

仕事に思わず唸ってしまうこともしばしば、です。

古今東西の職人と同じく家具修理でも名を遺すことはありませんが、こういう時は「素晴らしい!自分の名前

の焼き印をしてもいいのでは」と一人ごちてしまいます。

逆にとてもラフな修理がしてあってその尻ぬぐいをさせられることも。

「なんでこんな劣悪なボンドを使うんだろう、解体する時に大変じゃないか」「接合部にビスを打たないでよ、

ホゾがダメになってしまうよ」云々。

ショップの片隅でぶつぶつ独り言を言いながら作業をしているところを見かけたら「遠い昔の修理職人と時空を

超えた会話をしているのだな」と思って温かく見守ってくださいね。

そして、いつか自分が直した家具を手にした職人さんに文句をいわれないよう、僕も日々精進せねば、です!

 

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道具のお話#1

無題22

今回は趣向を変えて木工で使う道具の話をします。

みなさんが木工道具、と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、かんなやのみ、さしがねやノコギリではないでしょうか。

どれも家具の修理にかかせない木工道具の花形ですが、もしも、一番思い入れのある木工道具は、と質問されたら、

僕は真っ先に玄翁、と答えます。

家具を組み立てる時はもちろん、釘を打ったり、かんな刃の出し入れをしたり、のみを叩いたり、と、使う頻度が

一番多いのが、一般的に金槌、とか、トンカチと呼ばれる、シンプル極まりないこの道具。

バイオリンにとっての弓、とでもいえばいいのかな。手に届くところにないと仕事がはじまらない大事な道具なの

です(弓がないとバイオリンの音が鳴らないように!)。

無題33

木工道具を揃える際に最初に手に入れるのも玄翁(玄翁がないとカンナものみも仕込めません)。

基本的に玄翁は購入する時に柄が付いていないので、自分の手の大きさや腕の長さに合わせて、自分で仕込みます

(=柄を挿げる、と言います)。

くびれやヒツ穴に入る角度、など柄の寸法は各箇所に正確な寸法があるので原寸図を作成。かんなやのみを使って

樫の丸棒から削り出していきます。

ただ、これが簡単なようでいてかなりの難関!

実際に玄翁の頭に柄を挿げる時は、ヒツ穴に入る部分をガスバーナーで焦がないようにあぶりながら、極限まで乾

燥させます。そして、すげた後に楔を打つのはご法度なので、入らないときは何度も何度も削り直してぴったりの

サイズに仕上げていきます。

ここで手抜きをしてちゃんと挿げないと柄が乾燥した時に玄翁の頭が飛んでしまうので「家具職人の腕前は(乾燥

している)冬場の玄翁をみればわかる」と言われるほど!

(ご安心ください、僕の玄翁は20年間、抜けたことはありません!)

無題11

僕が使っているのは名工・長谷川幸三郎の80匁。もうすぐ引退するから買えなくなる、と聞いて無理して一緒

に120匁も買ったのですが、まだ挿げていません。

もっとも単純な形態・機能の木工道具だからこそ奥が深い玄翁。

忘れかけた初心を取り戻すために、年明け早々に挿げようと思います、ちょうど冬だし!

 

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