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about linen リネンのはなし、あれこれ、よもやま話。

第2話 リネンの産地


「どこのリネンですか?」とお店でもよく訊かれます。この質問に正確に答えるのは、簡単ではありません。
まず様々な工程が国を超えて行われていることが多く、国で特定するのは困難。そして2番目の理由は布地に生産地情報が必要とされていないためです。加工食品で、原料の原産地まで記載されていないのと同じです。



生地になるまでの過程

リネンがフラックスと呼ばれる植物からできることは、最近では広く知られているようです。
フラックスがリネン生地になるまでの過程を大きく分けると、1.栽培2.繊維の取り出し(スカッチング)3.紡績(スピニング)4.製織(ウィービング)5.加工(フィニシィング)となります。

かつてはすべての加工工程がフラックスの生産地に集積されることで、フランダース地方のように地方固有のリネン産業が勃興しました。しかし、西ヨーロッパがEUとして統合されたことで、国をまたがる分業体制が築かれ、西ヨーロッパのリネンを国別に識別することの意味が少なくなってきました。
現在でもリトアニアは歴史的経緯もあり、これらすべての工程が国内で完結する体制を維持しています。




ベルギーリネン

ベルギー全体のことはよくわかりませんが、取引先であるリベコ・ラガエ社を例にとると、主な原糸の仕入先はイタリアの会社です。リスク分散の観点から、ウィーバー(製織工場)は、原糸の仕入先として5社程度を確保しているのが通常のようです。
スピナー(紡績工場)は繊維原料から糸をつくるわけですが、原料を生産地別にどの程度厳密に分けて使うかは、その工場によります。そういった選別をきっちりする工場で作られた糸は一般的には高価ということになります。
リベコでは、紡績工場に品質の指定は厳しくするものの、フラックスの原産地についてはベルギーもしくはフランスというやや大まかな指定です。
またフィニッシュ(特に染色、仕上げ加工)については、細かいやりとりや確認が必要になるため、近隣のフィニッシャーを使うことが多いようです。




アイリッシュリネン

フランスリネンは古くからFleur bleu(青い花)というブランドで売られていました。リネンが主要輸出品であった頃、各国は差別化のため独自のブランド名をつけて自国製品の優秀さをアピールする必要がありました。アイリッシュリネンというブランドもそうした背景から生まれ、白いフラックスの花をシンボルに使っていました。

アイリッシュリネンという名前は最も浸透しているリネンブランドです。リネンの高級ハンカチはアイリッシュリネンと決まっています。
アイルランドといってもリネンのウィーバーがあるのは、べルファストを中心とした北アイルランドなので国で言えばイギリスです、アイリッシュリネンはイギリス製です。

現在イギリス、アイルランドでフラックスは生産されていないので、アイリッシュリネンのフラックス原料もやはり、フランス、ベルギーから輸入されています。紡績工場をあわせ持つウィーバーも多く、原料だけを購入して紡績もアイルランドで行われることが多く、糸を輸入することは少ないようです。
既に17世紀頃から、スコットランドやアイルランドのスピナーはフランダース地方にフラックスの買付けに来ていたとのことで、当時からこの地域で栽培されるフラックスが高品質であったことがうかがえます。

アイリッシュリネンという名前が、高級リネンの代名詞として定着した理由はよくわかりませんが、リネンが日常品というより高級品として早くから認識されたアメリカで、大きなシェアーをもっていたためではないかと想像します。





リトアニアのリネン
リトアニアのあるバルト海沿岸部は古くからフラックスの産地でした。他にもロシア、ベラルーシ、ウクライナといった旧ソ連地域も古くからのフラックス産地です。これらの地方のフラックスは、フランス、ベルギー、オランダの海岸部のフラックスよりも繊維が短いことから、原料としての価格は低目です。

リトアニアのリネン産業は、旧ソ連時代に地元のフラックスを使い、繊維の取り出し、紡績、製織までを国営工場で行われていた経緯から、今もすべて国内で完結する体制が保たれています。
独立後は、国の主要産業として、いちはやく北欧を中心としたヨーロッパに輸出をはじめ、今ではこの地域に大きなシェアーを持っています。また余った原糸も輸出しています。
EU加盟後は、関税の優遇措置が廃止されましたが、日本への輸出も毎年拡大しています。

リトアニアリネンの特徴はそのグレーがかった色合いです。出来上がりの繊維の色は、地面で乾燥させる時の土壌に左右されるので、そのような色合いの違いが生まれます。それ以上に特徴として感じるのは、リトアニアのリネンの会社の仕事ぶりです。仕事が速くて確実で納期も確か、みんながとても効率的に働いていることです。
先日ドイツの展示会で会った時には、車で8時間かけてみんなで来たと言っていました。フランスやベルギーの会社ではちょっと考えられません。


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